『ラ・パティスリー』の5年後を描いた続編です。
洋菓子職人として成長した夏織の前に、甘いもの大嫌いな新キャラが現れます。
とにかくブラマンジェが食べたくなるお話!
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『菓子フェスの庭』の3行あらすじ
[box03 title="3行あらすじ"]
- 『ラ・パティスリー』の5年後のロワゾ・ドール
- 一人前のパティシエールに成長した夏織は、西宮ガーデンズで開催される菓子フェスを任される
- 菓子フェスの担当者は甘いもの大嫌いな男性で、夏織と恭也との微妙な三角関係が始まる
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少し前までKindle Unlimitedで読めてたんですが、今は電子書籍自体がないです。(2021/06/14現在)
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神戸の図書館の使い方も詳しく解説しています。↓
『菓子フェスの庭』の物語と世界
一人前のパティシエールに成長した夏織に舞い込んだ大きな仕事は、西宮ガーデンズで開催される菓子フェスに出品するお菓子を考案することでした。
菓子フェス主催の百貨店の担当者・武藤は甘いものが大嫌い。
夏織がおもてなししたデザートを気に入り、武藤の意向に沿ったブランマンジェを作り上げることになります。
甘いもの大嫌いな菓子フェスの担当者・武藤
武藤の甘いもの嫌いは普通ではありません。
アレルギーならともかく、ちょっとわがまま過ぎちゃうん?とイライラしますが、中盤以降に甘いものが嫌いになった子供の頃の出来事が描かれます。
「あぁ、まあ、気の毒やったね」って納得する理由は、後述するネタバレで書きますね。
帰ってきた市川恭也の謎
5年前、ロワゾ・ドールから東京へ戻った市川恭也が自分のお店を作るために、神戸に舞い戻ります。
不思議なのは『市川恭也』として登場していること。
あれ?本名は『谷村喬次』じゃなかった?
たとえ記憶をすべて取り戻してないにしても、なぜ架空の名前『市川恭也』として再登場しているん?
この小説の最大の謎です。
どこか読み落としている個所があるのかな?どなたかご存知でしたら教えてくださいませ。
お菓子に使う洋酒たち
菓子フェスに出品するブラマンジェに使う洋酒を研究するために、夏織と恭也は神戸のカクテルバーに行きます。
私も昔はよく三宮のカクテルバーに行ってたけど、ここ数十年まったく行ってません~。
その頃行っていたバーはもうないかな。
小説に出てくるカクテルバー「ブルーム」は女性バーテンダーが活躍するお店です。
ただのバニラアイスを大人のアイスクリームに変身させる洋酒たち。
- クッキー&クリーム
- ベイリーズ
- ダージリンのリキュール
- ウーロン茶のリキュール
- DITA(ライチリキュール)
近くの「やまや」さんに買いに行こうかと思ったほどです。
『菓子フェスの庭』に出てくる神戸
前作『ラ・パティスリー』では神戸や近辺の詳しい描写はあまりありませんでした。
今回は西宮ガーデンズが力を入れて描写されています。
タイトルの菓子フェスの庭の「庭」は西宮ガーデンズのことですしね。
西宮ガーデンズ
神戸じゃないけど阪神間の有名モール。
私はあまり詳しくありません。一度か二度行った記憶がかすかにあるくらいです。
インスタのフォロワーの方に美味しいケーキのお店があると教えて頂きました。
物語の中では菓子フェスが行われる会場として、かなり詳しく描写されています。
夏織と恭也と武藤の微妙な三角関係のシーンも西宮ガーデンズ。
ちょっとドラマみたいでドキドキしました。
ハーバーランド
物語の終盤、夏織と恭也がデート(?)する場所として描かれています。
夏織はオリエンタルホテルを「モンブラン」みたいと思ってるそう。
うーん、船には見えるけどモンブランに見えたことは一度もないな。
『菓子フェスの庭』の感想(ネタバレあり)
ここからはネタバレありです。
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まず、武藤の甘いもの嫌いの原因からネタバレしますね。
武藤の子供時代、田舎の祖父母の家に行くと必ず「上吉饅頭」という和菓子を出された。
こしあん、つぶあん、柚子あん、味噌あん、抹茶あん、杏子あん、コーヒーあん、白花豆あん、黒豆あん、黒糖あん、この10種類のあんこを包んだ饅頭が1セットで箱の中に入っている。
目をつぶって饅頭を手に取り、どのあんが入っているかで運勢を決めるらしい。
その上吉饅頭が、洋風を取り入れた新製品を発売したが食中毒を出してしまう。
武藤はしばらく入院するほどひどい症状に当たってしまった。
それ以来甘いものが食べられなくなるが、久々にシュークリームを食べて美味しいと思った夜に食べた牡蠣にあたってしまう。
それからはもう一切甘いものが食べられなくなったのだ。
うん。お気の毒です。
私もシーザーサラダを食べた夜に食中毒らしい症状に苦しみ、10年くらいシーザーサラダを食べられなくなったことがあります。
今は平気ですが、もう一度同じことがあったらシーザーサラダを一生封印すると思う。
だから武藤が甘いものを一切受け付けなくなったのはすごく納得できる。
でも、そこまで甘いものが無理なら、夏織が一番最初に出した洋風淡雪「ウフ・ア・ラ・ネージュ」も無理だと思う。
そしてブラマンジェも無理でしょうよ。
あっさりしてるようでもやっぱりスイーツだし。
食中毒のくだりが生々しいだけに、武藤が中途半端に甘いものを克服したのが気になって気になって最後まで気になりました。
それにしても上吉饅頭のエピソードがすごく具体的ですよね。
どこかモデルになった和菓子屋さんがあるのかな?
ちょっと調べたけどわかりませんでした。
どなたかご存知の方がいらっしゃればぜひ教えてくださいね。
そして夏織と恭也と武藤の三角関係。
三角関係というより武藤が一方的に突っ走ってるだけで、夏織は好意にすら気づいてないようで笑えます。
ましてや恭也の気持ちはさっぱりわかりません。
ラ・パティスリーの頃からだけど、夏織と恭也の頭の中ってお菓子作りのことだけで、どうも人物像がわからない感じです。
夏織は恭也のことを慕っている雰囲気はあるけど、それも単純にすごい先輩っていうだけで、それ以外の好意ってあるのかな?
恭也は思いだしたはずの本名も名乗らず、架空の「市川恭也」を生きているし、夏織に対しての気持ちもお菓子作りの後輩以外のなんの感情も見えないんですよね。
そのあたりが雰囲気が私には理解できないので、「ラ・パティスリー」と「菓子フェスの庭」は☆2です。
『菓子フェスの庭』のまとめ
お菓子作りの裏側や、色々なお菓子を知りたい人にはうってつけの一冊です。
話の筋も「武藤さん、どうするつもりなんだろ?」って最初はぐいぐい引き込まれます。
西宮ガーデンズによく行く人は描写に楽しめそうです。
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