私の両親は共働きだったため、小学生の頃は学校から祖母の家にいったん帰り、親が帰宅する時間に祖母の家から自宅に自転車で帰る、という生活をしていました。
今はないですが、たまに不思議なことが起こる子供でした。
祖母の家からは兄と一緒に帰宅していましたが、踏切を通る時、たまに遮断機の音が聞こえるんです。
実際に鳴っているわけではありません。
遠くのような頭の中のような、かすかにキン・コン・カン・コン・・・、と聞こえます。
すると、すぐに踏切の遮断機が鳴り始めました。
隣の踏切とは1km以上離れています。兄や、他の人にも聞こえません。
最初は驚いていた兄ですが、何度も何度も同じことが起こると、「今日は鳴ってる？」
と聴くようにりました。
聞こえる時はすぐに鳴り始めるし、聞こえない時は鳴りません。的中率は100%でした。
話がズレましたが、兄が小学校を卒業後は、兄は直接自宅に帰るようになり、祖母の家から私は一人で帰宅するようになりました。
祖母の家の近くにはドンドン橋と呼ばれる、長さ10mくらいでしょうか、コンクリート製の山なりの橋がありました。高さは一番高い所で2mほどだと思います。橋と言っても下を水が流れているわけではありません。
すぐ横には工場があり、橋の下はその工場の備品置き場のようになっていました。
最近知ったのですが、昔から不思議なことが言い伝えられている場所だそうです。
春先にその近くを通ると、異常に頭が痛くなることがありました。経験したことがないような、頭が割れそうなほどの痛みでした。
祖母と病院に行きましたが、異常は見られませんでした。
数時間で頭痛は治りましたが、翌年の春先、また同じ場所で急に激しい頭痛に襲われました。
去年と同じ痛みだ、と思いながら祖母の家に帰り、安静にしていました。
その翌年は同じことになるのが嫌でその場所は避けていたため、頭痛はありませんでした。
そんなドンドン橋です。
ある日、祖母の家から自宅に帰る際にドンドン橋を渡っていると、途中からフッと記憶が途切れてしまいました。
誰かに呼ばれたような気がして、朝起きるような感覚で目覚めました。
「ん？」
目が覚めましたが、ベッドの上ではありません。
私はドンドン橋の下で仰向けに寝ていました。2m上には転げた自転車が見えます。
どうやら橋の上で転んで、自分だけ下に落ちたようです。何が起きたかまったく覚えていません。
急いで上に回り込んで自転車に乗り、帰宅しました。
夕食の時にその話をすると、母が「ケガは？」と聞きました。
この瞬間、私の中で様々な違和感が噴き出したのでした。
2m下のコンクリートに落ちて、打ち身や擦り傷、痛みすらないこと。転げていた体制が、きれいな仰向けだったことなど。
更に、祖母の家から自宅までは自転車で10分かからないので、帰る時間は決まっていたのですが、記憶をなくすような事故があっても、帰る時間がほぼ同じだったこと。
「もうあそこには近づくな！」父は語気を強めて言いました。
父に言われなくても、気持ち悪いのでそれ以来はあまり近づかなくなりました。
ちなみに、昔からドンドン橋で不思議なことが言い伝えられているという話を最近聞いたのも父の口からでした。 早く言えよ、と思ったとか思わなかったとか・・・。
