栗花落の井

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栗花落の井伝説|湧き出る清水は無理に嫁がされた白滝姫の涙?‥神戸史跡巡り【北区】

2020-08-12

普段は枯井戸なのに梅雨の時期だけ水が湧きだす井戸‥この伝説を知って30年余り、やっとこの目で確認できました。

場所は神戸市北区山田町原野に伝わる『栗花落の井』。

この井戸には、1200年前の奈良時代から不思議なお話が伝わっています。

栗花落の井伝説をザクっとまとめ

  • 奈良時代のお話。田舎の男が都に上り、身分高いお姫様に恋をする。
  • お姫様は嫌がるが、男が姫に書いた和歌が上手だったので、姫の父大臣が男に姫を与える。
  • 田舎に嫁いだ姫は都が恋しくて死んでしまう。
  • 姫が埋められたすぐ側から清水が湧きだし、毎年梅雨の時期にだけ、今でも清水が湧きだすと言われている。

栗花落の井の伝説のインスタ版紙芝居

栗花落の井 神戸

栗花落の井 神戸

栗花落の井 神戸

栗花落の井 神戸

栗花落の井 神戸

栗花落の井 神戸

栗花落の井 神戸

栗花落の井伝説の史跡

栗花落の井

↓のどかな田舎の住宅街のど真ん中にある↓

栗花落の井

↓入っていいの?って戸惑うけど大丈夫↓

↓小道をどんどん進んでいきます↓

栗花落の井

↓つきあたりはそれらしい感じ↓

栗花落の井

↓ちゃんと栗花落の井の石碑があります↓

栗花落の井

↓石碑の横の弁財天の祠の下が井戸みたいになっている↓

↓何年か前、秋に行ったときは水気はまったくなくカラカラだったのに、6月中旬に行くと水がたっぷりだった↓

栗花落の井

↓写真では見え辛いけれど、小さな魚も泳いでた↓

栗花落の井

少し横にいかにも井戸らしい跡もある。中は確認できない。

今から50年近く前、栗花落氏がお社を再建したらしい。

栗花落の井伝説をくわしく解説

コビー
いつ頃の話?
今から1200年ほど前、奈良時代で淳仁天皇の御代やね。
なお
コビー
淳仁天皇陵って淡路島になかったっけ?
そうそう。孝謙天皇っていう女帝に政争で敗れて、淡路に流された方やね
なお
コビー
奈良時代は政争が激しかったもんな。この栗花落の井の伝説もそんな政争と関係があるん?
ん~直接は政争とは関係ないけど、この伝説のお姫様『白滝姫』は、藤原豊成って大物政治家の娘なんよ
なお

山田左衛門真勝(やまださえもんさねかつ)は、今の神戸市北区山田町原野あたりの出身で、奈良の都で淳仁天皇に仕えていました。

身分違いの恋歌合戦

右大臣藤原豊成の娘である『白滝姫』にひと目惚れしてしまい、こんな和歌を送ります。

水無月の稲葉の露もこがるるに雲井に落ちぬ白糸の滝

(意訳:めっちゃ好きやねん。この気持ちわかってよ)

白滝姫の返歌。

雲だにもかからぬ峰の白滝をさのみな恋そ山田男よ

(意訳:身分違いで図々しいにも程があるんちゃう?山田の若者さん)

真勝はあきらめきれずさらに歌を送ります。

水無月の稲葉の末もこがるるに山田に落ちよ白糸の滝

(意訳:そう言わんと山田にお嫁に来てや)

‥しつこい上にさらに図々しくなってる歌に、白滝姫ではなく何故か父大臣の豊成がほだされてしまいます。

さらに、この歌合戦を知った淳仁天皇まで、白滝姫を真勝に与えるように言い始めました。

コビー
え~?真勝の歌ってそんなにええ?上句なんてほぼ一緒やん
うん。私もそう思う。和歌のことはよくわからんけど、ただしつこいだけやん~。
なお

なぜそうなるのか、さっぱりわかりませんが、白滝姫は真勝と一緒に山田庄に嫁いでいくことになりました。(真勝、都で仕事あるんちゃうん?)

平野の石井で最初の水魔法

山陽道を通って平野あたりの石井の里でひと休みをしました。石井の里は水不足で困っていました。

白滝姫が杖で地面をつつくと、なんとそこから清水が湧きだしはじめました。

なんで?

魔法使い?

それとも白滝姫は弘法大師の化身?(いや、この頃は弘法大師は生まれてない)

石井の里人は白滝姫を祀る祠を建て、その傍の森は栗花落の森とよばれ、今では都由乃町(つゆのちょう)として地名に残っています。

すごいなぁ。

今でも祠は残っていて、栗花落の森の名残りのエノキが横に残されているそう。まだ行ったことがないので、近々行くつもりです。

写真撮ったら追記しますね。

都恋しさで病気になった白滝姫

さて、石井の里を後にした白滝姫一行は夢野から鵯越の山越え道を通って山田の里に到着しました。

新しい環境での新しい生活。

真勝との子供も生まれましたが、都恋しさに白滝姫は身体を壊してしまい、雨が降り続く梅雨の季節についに亡くなってしまうのです。

嘆き悲しむ真勝が屋敷の隅に白滝姫を手厚く葬ると、すぐ側から泉が湧きだし、その上に栗の花がはらはらと散り落ちました。

毎年梅雨の季節に湧き出る泉

その泉は夏になると枯れてしまいますが、毎年梅雨の季節になると泉に水が湧きだし、栗の花が散り落ちるようになったのです。

真勝はその泉の側に弁天様の祠をたてて、一族の名前を「栗花落(つゆ)」と改めました。

そしてその泉も栗花落の井と言われるようになったのです。

コビー
確かに6月に行ったときは水が湧き出てたね
うん。すごく感動したけどさ、よく考えたら梅雨の時期に水が出るのも当然な気がしてきた。田植えの季節でもあるんだから、用水路から水が来ているんちゃうかなって思うねん
なお

白滝姫の姉は中将姫という有名人

白滝姫の姉に中将姫という人がいます。

伝説の世界では白滝姫よりも有名人で、奈良の當麻寺の「当麻曼荼羅」をひと晩で織った人と言われています。

継母に苛め抜かれた苦労人ですが、実在する姫かどうか不明でそれは白滝姫にも同じことが言えます。

昔の女性は身分高い人の娘であっても、生い立ちや生涯がくわしく記録されていません。

だから話に尾ひれがついて伝説化していくのかなぁと思います。

この記事の参考文献

この記事を書くために参考にした本はこちらです。

栗花落の井伝説地への行き方

 

場所 田園住宅街の中
住所 〒651-1252 兵庫県神戸市北区山田町原野24
地図
アクセス 神戸電鉄箕谷駅から市バス111系統「蔵本」行きに乗車

蔵本で下車して徒歩2分

駐車場 近くにコインパーキングは皆無です‥( ゚Д゚)

車で行くなら、新神戸トンネル入り口近くのスーパー「マルハチ」提携の駐車場に停めて徒歩20分程が最短かも。1時間無料です。

 

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