『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』は2冊でています。
神戸民目線の感想を詳しく記事にしてみました。
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『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』の3行あらすじ
- 東京の会社を辞めた『高橋寛人』は、亡き祖父から譲り受けた神戸栄町にあるアンティーク堂に引っ越してきた。
- アンティーク堂には腕の良い修理屋『後野茉莉』がスペースを借りて仕事をしている。
- アンティーク堂を訪れる人々やモノを通して物語が広げられていく。
『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』の舞台は神戸栄町
『神戸栄町』は住所的にはただの『栄町』だけど、日本全国はおろか台湾にまで『栄町』という地名はあるので、『神戸栄町』と題名につけたのでしょう。
栄町は市営地下鉄『みなと元町』駅を中心に東西に細長くのびる地区です。
↓黄色く囲まれたところ
栄町通りと乙仲通りが東西に延びています。
栄町通りはオフィス街で一見面白みがないみたいだけど、みなと元町駅の建物や老舗のフルーツパーラー『ベニマン本店』の建物は一見の価値あり!
栄町通りより南の乙仲通りには、小さくて神戸っぽい店舗が点在していて『お洒落エリア』として知られています。
『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』の舞台もこのあたりの設定だと思う。
アンティーク堂のモデルとなったアンティークショップを探したけど、それっぽいお店は見つかりませんでした。
↓アンティークショップ?と思ったけど北欧雑貨のお店でした。
アンティーク堂は賃貸マンションの1Fにあって、マンションの敷地には小動物のお墓が作れる程度の庭がある設定。
私が歩いた限りではそんな建物はなかったなぁ。
そのあたりはまるごとフィクションなのかな。
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『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』の物語と世界
日常っぽい非日常
この小説は日常っぽい非日常の中でゆっくりと時間が流れていきます。
主人公の寛人は亡き祖父からアンティーク堂と一緒に賃貸マンションも相続しています。
結構な家賃収入がある賃貸マンションで、寛人がやることはお客のこないアンティーク堂を守っていくことだけ。
設定自体がちょっとした非日常ですよね。
うん。素直にうらやましいぞ。
アンティーク堂の一角で修理屋さんをしている後野茉莉は、華奢で色が白くて栗色の髪を無造作に束ねて、ダンガリーシャツに大きなエプロンをしているすごく「キレイ」な女性。
これも非日常というかマンガっぽいヒロインですね。
ラノベなのでマンガっぽくて当たり前ですけど。
非日常要素として、天才バイオリニストにイケメン高校生も重要な脇役として出てきます。
心躍るガラクタ達
このお話はアンティーク堂に修理で持ち込まれる『モノ』が物語を展開していきます。
目が飛び出るほど高いモノや、ガラクタ同然のモノもあります。
モノに執着しない寛人とモノに愛着する茉莉。
対照的な2人がアンティーク堂の中でモノを通して色々な想いを重ねていきます。
パティックフィリップ・カラトラバ
寛人は神戸に来る前に東京に恋人がいました。
その恋人の持ち物が『パティックフィリップ・カラトラバ』の腕時計。
パティックフィリップはスイスの高級腕時計メーカーで、カラトラバはラインナップのひとつ。
ある理由から止まってしまったカラトラバを寛人が持っており、修理人である茉莉が恋人との間に決着をつけるカギになってくれます。
↓ホンマにお高いわ~。時計はスマホで十分と思ってしまう私は寛人派w
マレリーの扇風機
アンティーク堂で涼しい風を送ってくれるのはマレリーの扇風機。
マレリーはイタリアで古くからある家電メーカー。1930年~頃かな?
近年は自動車部品メーカーの『Mageneti Marelli』社でしたが、日本の『カルソニックカンセイ』と経営統合して『マレリ株式会社』として日本の会社になっています。
で、マレリーの扇風機のイメージ画像がこちら↓
おっしゃれー♪
でも涼しくなさそう~w
神戸の海側は夏は結構暑いのに、これ1台で凌げるんだろうか。
いや神戸の北側でも無理だわ。
ベータマックスのビデオデッキ
茉莉の重大な秘密がわかるベータマックスのビデオ。
私の世代でもVHSしか見たことない人多いと思う。
友達の家で見たことがあるくらい。VHSとベータって共存共栄してたのかな?
壊れた古いバイオリン愛称『オメロ』
アンティーク堂のショーウィンドウの一等席を独占している古いバイオリン、愛称『オメロ』。
オメロってメーカー名かと思って調べまくったけど違いました。
このバイオリンの持ち主のイタリア人の名前だったようです。
1850年頃の職人が手作りしたモダンイタリアンのバイオリン‥とだけ明かされています。
ストラディバリウスほど有名ではないみたい。
うーん。なんだろ?気になる。でも知識がないからわからない。
とりあえずストラディバリウスタイプのバイオリンを探してみた↓
オルゴール付きビスクドール
茉莉のところに持ち込まれたビスクドール。
それを引き受けた時から、アンティーク堂に起きる数々の怪現象。
幽霊関係じゃないけど、途中まではそれよりもゾッとする場面あり。
こんなビスクドールには憧れはあるけど、所有する勇気はないw
アンティークメトロノーム
この小説の中で一番心惹かれたのが木製のどっしりしたメトロノーム!
こんなのでピアノの練習したら心躍るだろうな。
私の現実は電子ピアノのメトロノームだけど。
バラバラに壊れたメトロノームからちょっと胸糞悪い話が展開していきます。
『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』に出てくる神戸
この作品に出てくる印象に残った神戸スポットを紹介しますね。
作者の竹村優希さんは神戸をよく取材されていると感じました。
でも地元民からするとちょっと物足りない気がしないこともないかな~。
ガイドブックにある神戸を忠実に舞台に盛り込んだ印象です。
神戸栄町
この作品の舞台なので当然!
でも実在のお店や建物、もしくはモデルにしたと思われる描写はなかったです。
それがちょっと残念なところですね。
天覧台
寛人と茉莉がドライブに行く夜景スポット。
観光化されて有名な掬星台よりは地元神戸民の穴場スポットとして描かれている。
うーん‥そうかなぁ?
天欄台の方が観光化されいる感はある気がする。
ちなみにわが家のお気に入り夜景スポットは、もっと観光化されているガーデンテラスです。
ハーバーランド
天才高校生バイオリニストの天馬くんがクラスの女子をひきつれて、散歩中の寛人と出くわすシーンが印象的でした。
umieの描写もいい感じです。
栄町からハーバーランドは散歩にちょうどいい距離ですね。
が!
ハーバーランドの描写の中でどうしても解せないことがあります。
ハーバーランドにサーカスなんてありましたっけ?
寛人が子供の頃、父に連れられてセンタービルの中にあったサーカスに行ったそう。
サーカスってあの空中ブランコや綱渡りがあるサーカスですよ?
『神戸ハーバーサーカス』なら知ってます。
今のセンタービルの前身で、あんまり買いたいものがなかった小規模デパートみたいなの。
作者はもしかして神戸ハーバーサーカスを本当にサーカスだと勘違いしたのかな~。
それともパラレルワールド?
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ルミナリエ
神戸と言えばルミナリエ。
物語の根幹で『孤独』をほぐすために、寛人が茉莉をやや強引に誘います。
鎮魂のために始まったイベントだから、物語の中のこの使い方はいいなと思う。
砥峰高原
神戸じゃないけど、物語の中でとても印象に残った場所。
私も何十年か前に行ったことがあります。一面ススキでとても素敵な場所でした。
この本を読んで家族でまた行こう!と思い立った。
でもやっぱり秋に行きたいかな~。忘れないようにメモしておかなければ。
『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』の感想(ネタバレあり)
ここからはネタバレありです。
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寛人と茉莉は血のつながった従姉弟だということが物語の中盤でわかります。
この物語のキーパーソンである『万さん』は、アンティーク堂の元のオーナーで寛人の祖父ですが、同時に茉莉の祖父でもあったのです。
『家族』に縁の薄い寛人と茉莉が、祖父であり友人でもある万さんを通じてアンティーク堂で出会います。
この物語の根幹の過程が、私はどうも現実離れしすぎていて素直に飲み込めません。
恋が始まりそうな感じがあるのに『親戚かぁ~』と思うとちょっと興ざめもしちゃいます。
従姉兄なら問題はないんですけど、なんかね‥と。
モノを介したひとつひとつのお話はとても面白いので、そこは残念。
ただし、寛人の元恋人の話はもうひとつでした。
花崎咲が何を考えていたのかがさっぱり理解できません。
それから『後野茉莉(あとのまつり)』‥。
茉莉の両親のネーミングセンスは、どう好意的に考えても解せないですねw
『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』のまとめ
神戸人としては色々突っ込みどころもあるけれど、ひとつひとつのお話はとても面白くグイグイ引き込まれます。
アンティークものが好きな人にもとても楽しめる小説で、2日あれば2冊とも読めちゃいますよ。
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