ラパティスリーの感想

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ラ・パティスリーのレビュー|神戸の洋菓子vs東京?

2021-06-12

神戸と言えば洋菓子!

『ラ・パティスリー』は洋菓子をたっぷり堪能できて、そしてその業界の厳しさも垣間見えるお話です。

作者は神戸市出身の上田早百里さん。

神戸海星女子学院大学卒業をされています。wikiによると姫路にお住まいだとか。

この記事は『ラ・パティスリー』のあらすじとレビューを書いています。

神戸が舞台の小説一覧はこちら↓

『ラ・パティスリー』の3行あらすじ

  1. 新米パティシエール、夏織の働く『ロワゾ・ドール』に記憶喪失のパティシエがお化けのように現れる
  2. 腕は超一流の彼と一緒に夏織は洋菓子職人の道を突き進む
  3. やがて明らかになる彼の過去とロワゾドールとの意外な接点とは?

少し前までKindle Unlimitedで読めてたんですが、今は電子書籍自体がないです。2021/06/12現在

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『ラ・パティスリー』の物語と世界

まるでパラレルワールドに迷い込んだかのような謎のパティシエ・市川恭也と新米パティシエールの森沢夏織を軸に、神戸の洋菓子業界が淡々と描かれてます。

舞台は洋菓子店『ロワゾ・ドール』。フランス語で「金の鳥」の意味を持つお店です。

場所は明らかではないけど、たぶん北野辺りを設定している雰囲気。

この小説では詳しい神戸の描写はあまりありません。

物語の始まり

新米パティシエールの森沢夏織が、朝一番にロワゾ・ドールに出金すると、見知らぬ男性が素晴らしい飴細工を作っています。

市川恭也と名乗る謎の男は、ロワゾ・ドールのことを自分がオーナーの『ロワゾ・アンジャンテ』と思い込んでる。

ロワゾ・アンジャンテはフランス語で「銀の鳥」。

恭也は厨房を勝手知ったるかのように自由につかいこなすし、飴細工の素晴らしい技術もただの頭のおかしい人ではなさそう。

市川恭也の正体は?

身元を証明するものを何も持っていない恭也。

しかも恭也の持っている鍵では厨房に入れなかったはず。

市役所に行っても「市川恭也」の戸籍はない。

そしてロワゾ・ドールのオーナー、「市川晴恵」の行方不明の息子、市川彰一にどことなく似ている。

たくさんの謎はあるけど、恭也はロワゾ・ドールで働くことになります。

恭也に憧れる夏織

ロワゾ・ドールで働き始めた恭也の洋菓子の知識と技術は卓越していました。

夏織はそんな恭也を尊敬し憧れを抱きます。

ほのかな恋心も芽生えているようだけど、どうも夏織のキャラが薄くてどんな女の子なのかがよくわかりません。

夏織に限らず、登場人物のキャラは立ってないなぁ‥という印象。

洋菓子をめぐる小さな物語たち

昔、食べたケーキの味を再現して欲しい。

子供の頃、この辺りにあったアイスクリーム屋の楓のアイスが食べたい。

ロワゾ・ドールのお客さんがもたらす小さな物語に応えていく恭也と夏織。

恭也の謎とこの小さな物語がこの小説の見せ所だと感じます。

洋菓子は神戸?東京?

洋菓子と言えば神戸!日本一!

私も含め神戸の人はそう思っている人が多いのでは?

ラ・パティスリーの世界では、神戸を含め関西の洋菓子は『万人に愛される味』ということが重視されていて、尖ったところは受け入れられにくいと描かれています。

だからオーナーの息子の彰一は東京に出て行ってしまった。

色々なモノが集まる東京で洗練されていく洋菓子はやっぱりすごい!

自分が表現したい洋菓子は東京でしか作れない!

そう考えている職人さんも描かれています。

私は神戸の洋菓子で大満足だけどなぁ。でも東京のケーキも食べてみたいなぁ。

そんな風に思いました。

『ラ・パティスリー』に出てくる神戸

ラ・パティスリーでは神戸の詳しい描写はあまり出てきません。

ロワゾ・ドールが北野辺りにあることがなんとなく想像できる程度です。

続編の『菓子フェスの庭』は神戸周辺が詳しく描写されている個所があります。

『ラ・パティスリー』の感想(ネタバレあり)

ここからはネタバレありです。

恭也の正体は判明します。

オーナーの息子との接点はなく、昔、ロワゾ・ドールで働いていた職人の友人で「谷村恭次」という名前でした。

なぜ記憶を失ったのか、

なぜロワゾ・ドールの厨房を良く知っていたのか、

なぜロワゾ・アンジャンテという自分の店だと思い込んでいたのか、

なぜ厨房に入りこめたのか、

この辺りははっきりと解明されます。

人間が現実だと思っていることの記憶のメカニズムなどが詳しく書かれていて、一応は納得できました。

恭也と夏織の活躍で、行方知れずのオーナーの息子「彰一」の居所もわかります。

晴恵との『和解』らしきものもあったけど、なんだか拗らせた親子だなぁという印象。

ラ・パティスリーの登場人物は、性格がよくわからない夏織以外は尖った人が多いです。

職人さんの頑固なところを表現したいからなのかなぁ。

『ラ・パティスリー』のまとめ

洋菓子業界ってホンマ大変なんだな、今度ケーキを食べる時はもっと味わってありがたく食べよう!

そう思った読後でした。

神戸が舞台の小説一覧はこちら↓


少し前までKindle Unlimitedで読めてたんですが、今は電子書籍自体がないです。2021/06/12現在

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